kintoneの帳票プラグインに搭載されているQRコード出力機能。ただの飾りだと思っていませんか?実はこの機能、使い方次第で現場の作業効率を大きく改善できる可能性を秘めています。今回ご紹介するのは、「編集画面のURLをQRコードにする」というシンプルなアイデア。紙の帳票に印刷されたQRコードをスマートフォンで読み込むだけで、一瞬でkintoneの編集画面にアクセス。外出先でレコードを探す手間が省け、入力漏れや間違いの防止にも繋がります。
1. 編集URL作成用テキストフィールド追加
まず、編集画面の URL を作っていきましょう。
そのために、文字列(1行)フィールドの自動計算機能を使います。この機能で、各レコードのURLとレコードIDを組み合わせた、QRコード用のURLを自動で作成します。
なお、レコードIDの取得は、前回の連載『JSEdit for kintone を使って標準機能を拡張してみよう!』でご紹介した方法を使います。
前回は運送業・郵便業の配送依頼アプリを例に、「record_id_copy」フィールドへレコードIDをコピーする処理を設定しました。今回はその仕組みをそのまま活用します。
ステップ1: URLを格納するフィールドを追加
はじめに、完成したURLを入れておくための文字列(1行)フィールドをフォームに配置します。フィールド名は「編集URL」のように分かりやすいものにしておきましょう。
ステップ2: 自動計算でURLを組み立てる
kintoneの編集画面のURLは以下のような文字列です。https://<<サブドメイン名>>.cybozu.com/k/<<アプリID>>/show#mode=edit&record=<<レコードID>>
フィールドコード record_id_copy にレコードIDが格納してある状態で、ここに新たに文字列(1行)フィールドを配置し、自動計算するを有効にし、「計算式」として以下のような値を入れることで、編集用URLを生成することができます。
"https://example.cybozu.com/k/1/show#mode=edit&record=" & record_id_copy
例として上記の式を入れたものが以下になります。
・フォーム設定画面
編集画面では、画面下部に編集URLがレコードIDコピーの値をもとにセットされていることが分かります。
2. テンプレート追加
kintoneアプリ側でQRコードの元になるURLの準備ができましたね。次はいよいよ、帳票プラグインで帳票のレイアウトを作成していきます。今回は、配送伝票を例に、宛先情報と編集用のQRコードを配置する手順を見ていきましょう。
ベースとなるPDFが必要になります。真っ白なA4のPDFを以下からダウンロードしてください。ファイル名「A4白紙.pdf」がダウンロードできたかと思います。
https://tifmo.co.jp/design-production/free-a4/
次に、アプリの帳票プラグインを有効にしてプラグインの編集ページに遷移してください。
帳票プラグインの設定画面で「帳票追加」をクリックし、帳票名に「配送伝票」としてください。帳票タイプを「一覧」として「テンプレートの設定へ」ボタンをクリックしてください。
帳票の設定画面に、先ほどダウンロードしたA4白紙.pdfをドラッグアンドドロップしてください。
2.1 顧客名フィールド追加
まずは、帳票の基本となる宛名情報を配置します。 帳票プラグインのテンプレート編集画面で、右上の「+」ボタンを押して、出力先を出現させ、ドラッグ&ドロップで任意の場所に配置します。
そのうえで、出力フィールドを「顧客名(顧客名)」とします。
同様に、「郵便番号」と「配送先住所」フィールドも配置しましょう。顧客名の右側に配置するものとします。住所は長くなる可能性があるので、フィールドの幅を広めにとっておくと良いでしょう。これで、基本的な部分が完成しました。
QRコードを出力したときにカメラが識別しやすいように行間マージンを5として少し広めにとっておきます。
2.2 編集用URL追加
いよいよ、この記事の主役であるQRコードを配置します。 テンプレート編集画面の「+」を押し、出力フィールドとして「編集URL」を選択します。出力タイプを「QRコード」に指定します。
これで設定は完了です。この設定により、帳票が出力される際に「編集URL」フィールドに入っている文字列が、自動的にQRコードへと変換されるようになります。
3. レポート出力
すべての設定が完了したら、テンプレートを保存してkintoneのレコード一覧画面に戻りましょう。一括帳票出力というボタンが設置されていることを確認してください。
早速、作成した帳票を出力してみます。 先ほど設定したレイアウトでPDFが作成されます。宛名や住所が正しく表示され、QRコードが印刷されていることを確認してください。
最後に、お手持ちのスマートフォンで帳票上のQRコードを読み取ってみましょう。 kintoneのログインを求められた後、該当レコードの編集画面が直接表示されれば成功です!
これで、現場の担当者は紙の帳票を見ながら、QRコードを読み込むだけで即座にデータの修正や追記ができるようになります。ぜひ、この手軽で便利なアイデアを日々の業務改善にお役立てください。