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kintoneでシーケンス図を用いて人事労務フローを可視化してみよう!

マークダウンエディタのMermaid記法の解説第3弾としてシーケンス図の説明とサンプルを掲載いたします。

目次

Mermaidとは

Mermaidは、Markdown風の簡単な記法でダイアグラムを描画できるツールです。フローチャート、シーケンス図、円グラフなど幅広く対応しており、開発やドキュメントの可視化に最適です。

なぜsequenceDiagramが有効か

sequenceDiagram(シーケンス図)は「誰が」「いつ」「誰に」「何を」したかを時系列で表現できる図式です。人事・労務業務のように、複数の関係者が関与するプロセスの可視化に非常に適しています。

フローチャートは主に「処理の流れ(アルゴリズム)」を可視化するのに向いています。業務手続きの全体像や判断分岐、繰り返しを俯瞰するのに便利です。一方、シーケンス図は各アクター(例:社員、人事、システム)ごとの「やり取り」と「タイミング」を軸にしており、 「誰がどの処理をどのタイミングで実施したか」を明確にすることができます。

マニュアル

公式サイトのマニュアルはこちらからご確認ください。
https://mermaid.js.org/syntax/sequenceDiagram.html

人事労務業務のシーケンス図サンプル

以下は、社員の入社から社会保険、雇用保険、労働保険、住民税、算定基礎届といった一連の労務手続きをMermaidで表現したものです。

```mermaid
sequenceDiagram
    autonumber
    actor  社員
    actor  人事担当
    participant 給与システム
    participant e-Gov as e-Gov電子申請
    participant 年金事務所
    participant 市区町村
    participant 銀行 as 金融機関

    Note over 社員,年金事務所: 【1. 資格取得届(社会保険)】
    社員->>人事担当: 入社手続き
    人事担当->>給与システム: 社員情報を登録
    人事担当->>e-Gov: 資格取得届を電子申請
    e-Gov->>年金事務所: 申請データ送信
    年金事務所-->>人事担当: 登録完了通知

    Note over 人事担当,e-Gov: 【1-2. 資格取得届(雇用保険)】
    人事担当->>e-Gov: 雇用保険の資格取得届を電子申請
    e-Gov-->>人事担当: 電子申請受付完了(雇用保険)

    Note over 年金事務所,給与システム: 【2. 毎年4月 社会保険料率改定】
    年金事務所->>人事担当: 新年度の保険料率通知
    人事担当->>給与システム: 保険料率を更新
    給与システム->>給与システム: 4月給与から新料率で計算

    Note over 市区町村,給与システム: 【3. 毎年6月 地方税(住民税)額改定】
    市区町村->>人事担当: 特別徴収税額決定通知書(5月)
    人事担当->>給与システム: 新しい住民税額を入力
    給与システム->>給与システム: 6月給与から新税額で控除

    Note over 人事担当,銀行: 【4. 毎年6月 労働保険(労災・雇用保険)年度更新】
    人事担当->>給与システム: 前年度の給与データを確認
    人事担当->>e-Gov: 労働保険年度更新申告(確定+概算)
    e-Gov->>e-Gov: 申告受理・納付書発行
    人事担当->>銀行: 金融機関で保険料を納付(7月10日納期限)

    Note over 給与システム,年金事務所: 【5. 毎年7月 算定基礎届(定時決定)】
    loop 4月〜6月
        給与システム->>給与システム: 各月の給与を記録
    end
    人事担当->>給与システム: 4〜6月の平均月額を算出
    給与システム->>人事担当: 算定基礎届データを出力
    人事担当->>e-Gov: 算定基礎届を電子申請
    e-Gov->>年金事務所: 申請データ送信
    Note over 人事担当,年金事務所: 【6. 毎年9月 算定基礎決定通知】
    年金事務所-->>人事担当: 標準報酬月額決定通知
    人事担当->>給与システム: 決定された等級・月額を反映
    給与システム->>給与システム: 翌月以降の保険料を自動再計算
```

 

記述のポイント

  • autonumber:自動的に処理に番号を振ってくれます。
  • actor:当事者(社員、人事)を定義し、人型のアイコンが出ます。
  • participant:システムや外部機関を定義し、やり取りの相手として表現します。四角いアイコンが出ます。「participant e-Gov as e-Gov電子申請」のように表示名を別途定義することができます。
  • Note over:期間ごとの処理区分や補足説明に使うと読みやすくなります。
  • loop:4月〜6月の繰り返しなど、範囲処理を表現可能。
  • 矢印:`->>` は同期的、`-->>` は応答的や通知に向いている。

実務上の実際の内容は会社ごとにも大きく異なるかと思います。あくまでサンプルとして受け取っていただければと思います。

まとめ

MermaidのsequenceDiagramは、複雑な業務プロセスを可視化する上で非常に強力なツールです。今回のような人事・労務の年間処理の整理に活用することで、社内の教育や引き継ぎ、文書整備の効率が飛躍的に高まります。ぜひ一度、あなたの業務フローにもMermaidを取り入れてみてください。

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